「うちの子、本を読まないんです。」
そんな話を聞くことがあります。
実は、我が家の娘たちもそうでした。
本屋さんへ行っても、漫画や文房具には興味津々。
でも、本はあまり手に取りません。
「読書が好きな子になってほしい。」
そう思う気持ちはありました。
でも、「読みなさい」と言って本を好きになるものでもない気がしていました。
そこで我が家では、一つだけ小さなルールを作ることにしました。
それは、
「図書館へ行ったら、一人一冊だけ借りてみよう。」
というものです。
借りる本は何でも構いません。
絵本でもいい。
図鑑でもいい。
マンガのような本でもいい。
タイトルが気になったから。
表紙がかわいかったから。
理由も自由です。
そして、もう一つ。
借りても、読まなくてもいい。
これだけは親の私も決めていました。
せっかく借りたのだから読んでほしい。
そんな気持ちがなかったわけではありません。
でも、「読まなきゃいけない」になった瞬間、本は楽しいものではなくなってしまう気がしたのです。
だから、借りることだけを約束にしました。
最初の頃は、やっぱりほとんど読みませんでした。
家に帰ると、そのまま置いてあることもあります。
返却日が来て、「結局読まなかったね。」ということも何度もありました。
それでも私は、「読まなかったね」と責めることはしませんでした。
また図書館へ行き、また一冊借りる。
それを繰り返しました。
すると、少しずつ変化がありました。
ある日、自分から本を開いていました。
また別の日には、
「この続きも借りたい。」
と言うようになりました。
そして気づけば、
「今度、図書館いつ行く?」
と聞いてくれるようになったのです。
あんなに本に興味がなかった娘たちが、図書館へ行くことを楽しみにするようになりました。
私はそこで気づきました。
本を好きになったというより、
図書館という場所を好きになったのかもしれない、と。
静かな空間。
たくさんの本に囲まれる時間。
自分で「今日はどれにしよう」と選ぶ楽しさ。
誰かに決めてもらうのではなく、自分で選べることが、娘たちには嬉しかったのかもしれません。
そして、私自身も図書館が大好きです。
本棚をゆっくり眺めながら、
「今日はどんな本に出会えるかな。」
と考える時間は、とても心が落ち着きます。
そんな私の姿を見ていたことも、少しは影響していたのかもしれません。
子どもは、「本を読みなさい」という言葉よりも、大人が楽しそうにしている姿をよく見ています。
だから私は、「読書って楽しいよ」と説明するより、自分が楽しむことを大切にしてきました。
もちろん、今でも娘たちが毎日本を読んでいるわけではありません。
動画を見る日もあります。
ゲームをする日もあります。
それでいいと思っています。
でも、図書館へ行けば自然と本を手に取り、
「これ借りようかな。」
と笑っている姿を見ると、あの小さな習慣は間違っていなかったのかな、と感じます。
子育てをしていると、つい結果を急いでしまいます。
早く読めるようになってほしい。
好きになってほしい。
興味を持ってほしい。
でも今回、娘たちを見ていて思いました。
何かを好きになるには、時間が必要なのかもしれません。
そして、そのきっかけは、とても小さなことでいい。
「図書館へ行ったら、一冊だけ借りてみよう。」
そんな何気ない習慣が、娘たちにとって本との距離を少しずつ縮めてくれました。
もし今、お子さんが本を読まないと悩んでいる方がいたら、無理に読ませようとしなくても大丈夫かもしれません。
まずは、本がたくさん並んでいる場所へ行ってみる。
自由に選ぶ時間を楽しんでみる。
その積み重ねが、いつか「本って面白いね」という気持ちにつながる日が来るかもしれません。
私はこれからも、娘たちと一緒に図書館へ通いたいと思います。
本を借りるためだけではなく、それぞれが好きな一冊を探しながら過ごす、あの静かな時間を楽しむために。



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