私はランチが好きです。
ディナーよりも気軽に楽しめるし、価格も比較的リーズナブル。一人でも入りやすいお店が多いので、「今日は少し自分を労わりたいな」と思った日に、ふらっとランチに出かけることがあります。
そんな私が本屋で見つけたのが、原田ひ香さんの『ランチ酒』でした。
「ランチ」と「お酒」。
この組み合わせに惹かれて、思わず手に取った一冊です。
私はお酒を飲むことも好きですが、昼間からお酒を楽しむ「ランチ酒」というものには、これまであまり馴染みがありませんでした。
「どんな物語なんだろう?」
そんな好奇心から読み始めたのですが、読み終えたときには、「この本に出会えてよかった」と思える作品になっていました。
『ランチ酒』のあらすじ
主人公は、犬森祥子。
離婚を経験し、一人娘とは元夫と暮らしているため、娘とは月に一度ほどしか会えません。
祥子は「中野お助け本舗」という仕事をしていて、夜間の見守りや付き添いなど、人の暮らしに寄り添う仕事をしています。
仕事を通して、さまざまな事情を抱えた人たちと出会う祥子。
決して明るいことばかりではなく、重たい現実に向き合わなければならないこともあります。
そんな仕事の合間に祥子が楽しみにしているのが、「ランチ酒」です。
美味しい料理とお酒を味わう時間。
それは単なる食事ではなく、祥子にとって自分の心を整える大切な時間になっています。
派手な出来事が次々に起こる物語ではありません。
だからこそ、登場人物たちの暮らしや悩みが身近に感じられ、読み進めるほどにじんわりと心に残る作品でした。
私の心に残った場面
この本の中で、特に心に残ったのが、祥子の元夫が再婚を考えていることを娘に伝える場面です。
祥子、元夫、そして娘。
三人で食事をしながら、これからの家族の形について話し合います。
誰も傷つけたくない。
でも、本当のことは伝えなければならない。
そんな複雑な気持ちが伝わってくる場面でした。
そして、この場面を読みながら私が強く感じたのは、
人生は、いつも完璧に進めなくてもいいんだ
ということでした。
私たちはつい、「失敗しないようにしなければ」と思ってしまいます。
一度選んだ道を間違えたくない。
後悔したくない。
できるだけ正しい選択をしたい。
でも、人生にはどうしても予想外のことが起こります。
自分ではどうにもできないこともあるし、その時になってみなければ分からないこともあります。
それなら、最初から全部を完璧にしようとしなくてもいい。
その時、その時で考えながら進めばいいのではないか。
そんなふうに思わせてくれました。
私も「頑張り続けること」が正解だと思っていた
私は以前、仕事や家事、育児などで、自分の限界を超えて頑張ってしまったことがあります。
「まだ大丈夫」
「もう少し頑張れば終わる」
そう思いながら、自分の疲れを後回しにしていました。
頑張っている間は、それが正しいことのように思えてしまうんですよね。
休むより、頑張ったほうがいい。
誰かに頼るより、自分でやったほうがいい。
少しくらい疲れていても、まだ動けるなら大丈夫。
そんなふうに考えていました。
でも、無理を重ねていると、いつの間にか心も体も疲れてしまいます。
だから今は、以前よりも「自分を労わる時間」を意識するようになりました。
カフェでゆっくり過ごす。
美味しいランチを食べる。
好きな本を読む。
何もしない時間を作る。
人から見れば、どれも小さなことかもしれません。
でも、自分にとって必要な時間なら、それは決して無駄ではないと思っています。
「自分を労わること」は、前に進むための時間
以前の私は、休むことを「何もしていない時間」のように感じていました。
でも、『ランチ酒』を読んでから、少し考え方が変わりました。
休むことは、立ち止まることではないのかもしれません。
また前を向くために、自分を整える時間なのではないでしょうか。
疲れたまま無理をして進み続けるより、一度立ち止まって、美味しいものを食べたり、好きな本を読んだりして心を整える。
そして、少し元気になったら、また一歩進む。
その繰り返しでもいい。
むしろ、それが自然な生き方なのかもしれません。
私たちは、ちゃんと前に進んでいる
「何も変わっていない」
そう感じる日もあります。
目に見える成果がないと、「自分は何もしていない」と思ってしまうこともあります。
でも、本当にそうでしょうか。
今日は早く寝よう。
今日は少し休もう。
誰かに相談してみよう。
今日はここまでにしておこう。
逆に、「今日はもう一歩だけ頑張ってみよう」と決めることもある。
そうした毎日の小さな選択も、ちゃんと自分の人生を作っているのだと思います。
前に進むというと、大きな目標を達成することを想像しがちです。
でも、必ずしもそうではない。
立ち止まることも、休むことも、遠回りすることも、自分で選んだのであれば、それは人生の一部です。
歩幅は人それぞれ。
昨日より少し前に進めた日もあれば、ほとんど動けなかった日があってもいい。
それでも、また次の日に一歩進めばいい。
私は『ランチ酒』を読んで、そんなふうに思えるようになりました。
こんな人におすすめしたい
『ランチ酒』は、派手なストーリーを楽しむ作品ではありません。
だからこそ、忙しい毎日に少し疲れている人や、頑張りすぎてしまう人におすすめしたい一冊です。
- 最近、自分の時間が取れていない人
- 毎日を一生懸命頑張っている人
- 少し心が疲れていると感じる人
- 美味しいご飯が好きな人
- 一人で過ごす時間が好きな人
- 読み終えたあとに、少し優しい気持ちになりたい人
そんな人なら、祥子のランチ酒を楽しむ時間に、きっと何か感じるものがあると思います。
おわりに
私にとって『ランチ酒』は、「ランチとお酒っていいな」と思わせてくれるだけの本ではありませんでした。
完璧じゃなくてもいい。
失敗しても、そのとき考えればいい。
疲れたら、ちゃんと自分を労わっていい。
そして、立ち止まる日があっても、また一歩ずつ進めばいい。
そんなことを教えてくれた一冊です。
人生は、いつも順調に進むわけではありません。
思った通りにならないこともあるし、遠回りしたり、立ち止まったりすることもあります。
それでも、その日その日をなんとか過ごしているだけで、私たちは少しずつ前に進んでいるのかもしれません。
だから今日は、頑張りすぎている自分に「よくやったね」と声をかけてあげたい。
そして、美味しいランチでも食べて、また明日を迎えたいと思います。
人生は、一歩ずつ前に進めばいい。
『ランチ酒』を読み終えた私は、そんな言葉を自分に贈りたくなりました。



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