『免許返納!?』|笑っていたはずなのに、人生の節目について考えていた

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あらすじ

自他共に認める映画スター・南条弘(舘ひろし)は、70歳にして人生最大のピンチを迎えていた。ライバル俳優・尾崎誠のバイク事故をきっかけに、自身のコメントが誤解され、「免許を自主返納する」と世間で話題になってしまう。愛車にも乗れず、アクション映画への出演にも影響しかねない状況の中、南条は人生の大切な約束を果たすため、旅に出る──。  

引用元:⁠映画『免許返納!?』公式サイト


感想

この映画を観ようと思った理由は、とても単純でした。

舘ひろしさんが、いつものダンディな二枚目ではなく、少し三枚目のような役を演じていると知ったからです。

「あの舘ひろしさんが?」

そんな興味から映画館へ向かいました。

実際に観てみると、その期待は裏切られませんでした。

周りを振り回しながらも、どこか憎めない主人公。思わず笑ってしまう場面も多く、重たいテーマを扱っているとは思えないくらいテンポよく物語が進んでいきます。

タイトルだけを見ると、高齢者の免許返納という社会問題を真正面から描いた作品なのかと思っていました。

でも実際は、もっと肩の力を抜いて楽しめるエンターテインメント作品でした。


ただ、一つだけ驚いたことがあります。

物語の途中、かつての戦友でもあった尾崎誠が入院してから、映画の空気が少し変わります。

それまで笑いながら観ていたのに、急に人生や老いについて考えさせられるようなシーンが増えていきました。

正直、少し戸惑いました。

「ここからこんな雰囲気になるんだ。」

そんな気持ちになったのを覚えています。

だから、この作品は観る人によって評価が分かれるのだろうと思いました。

コメディとして楽しみたい人には少し重たく感じるかもしれません。

反対に、人間ドラマを期待している人には少し軽く感じるかもしれません。

「コメディなの?」

「人情ドラマなの?」

思わず「どっちなんだろう」と感じる人がいるのも納得でした。


でも私は、そのバランスが嫌いではありませんでした。

免許返納というテーマは、誰にとっても決して軽いものではありません。

車を運転するということは、移動手段であるだけでなく、その人の自由でもあり、自立でもあります。

だから返納は、一枚の免許証を返すだけの出来事ではなく、人生の一つの節目なのだと感じました。

もし最初から最後まで重たい作品だったら、観終わったあと少し疲れてしまっていたかもしれません。

反対に、最後までコメディだけだったら、「免許返納」というテーマの重みは伝わりにくかったようにも思います。

だから私は、この映画くらいの温度感がちょうどよかったです。

笑える場面があるからこそ、後半のシリアスなシーンがより印象に残りました。


特に印象に残ったのは、尾崎誠の存在です。

病室でのシーンは、それまでの空気とは違い、静かに時間が流れていました。

年齢を重ねるということ。

昔の仲間が少しずつ変わっていくこと。

自分にもいつか訪れる人生の節目。

免許返納というテーマよりも、その先にある人生そのものを見せられたような気がしました。


映画を観終わって思いました。

この作品は、「免許返納をするべきか」を描いた映画ではありませんでした。

人生の中で、いつか手放さなければならないものと、どう向き合っていくのか。

そんなことを描いた作品だったのではないでしょうか。

年齢を重ねれば、できなくなることも増えていきます。

でも、その一方で、新しい景色が見えることもあります。

この映画は、それを笑いながら教えてくれたように感じました。


総評

『免許返納!?』は、社会問題を難しく語る映画ではありませんでした。

笑って、少しほろりとして、気づけば人生について考えている。

そんな不思議な作品です。

コメディと人間ドラマの間を行き来するため、好みは分かれるかもしれません。

それでも私は、その絶妙なバランスが心地よく感じました。

そして何より、舘ひろしさんの新しい一面を見られたことが、この映画を観てよかったと思えた理由の一つです。

免許返納という出来事は、人生の終わりではなく、新しい人生との向き合い方を考える節目なのかもしれません。

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