あらすじ
「人は三千円の使いかたで、人生が決まるよ」
結婚、子育て、入院、離婚、老後……御厨家の女性たちが直面する人生の節目やピンチ。前向きに乗り越えるためには、どう貯めて、どう使う? 一生懸命生きるあなたのための「節約」家族小説。
引用元:中央公論新社『三千円の使いかた』作品ページ
感想
本書で心に残った言葉があります。
『人は三千円の使い方で人生が決まるよ
三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく、ということ』
『三千円の使いかた』というタイトルを見たとき、私は節約術や家計管理について書かれた作品なのだと思っていました。
でも実際に読んでみると、この作品が描いていたのは、お金そのものではありませんでした。
描かれていたのは、「その人が何を大切にして生きているのか」。
つまり、お金を通して映し出される人生そのものだったように思います。
この作品には、祖母、母、娘と、それぞれ異なる世代の女性たちが登場します。
同じ家族であっても、お金に対する考え方はまったく違います。
貯めることを大切にする人。
今を楽しむために使う人。
将来のために備える人。
どの考え方も間違いではありません。
だからこそ、この作品には「正解」がないのだと思いました。
私は読んでいて、お金とは数字ではなく、その人の価値観を映す鏡なのだと感じました。
三千円という金額に込められた意味
作品のタイトルにもなっている「三千円」。
決して大きな金額ではありません。
でも、不思議なことに三千円という金額だからこそ、その人らしさが表れるように思いました。
美味しいものを食べる人もいる。
本を買う人もいる。
家族のために使う人もいる。
貯金をする人もいる。
同じ三千円でも、その使い道は人によってまったく違います。
私はこの作品を読んでいて、
「お金の使い方には、その人が大切にしているものが表れる」
ということを何度も考えました。
高額な買い物ではなく、小さな金額だからこそ、普段の価値観が自然と表れるのかもしれません。
お金は価値観を映す鏡
最近、私は本のレビューを書くようになってから、一冊読むたびに「この作品は何を伝えたかったのだろう」と考えるようになりました。
この作品を読み終えて最初に思ったのは、
「私は何にお金を使いたい人なんだろう。」
ということでした。
考えてみると、私は本を買ったり、コーヒーを飲みながら静かな時間を過ごしたりすることに、お金を使うことが多いように思います。
誰かから見れば地味な使い方かもしれません。
もっと有意義な使い道があると思う人もいるでしょう。
でも、それでいいのだと思いました。
何にお金を使うかは、その人が何を大切にしているかということだからです。
人と比べるものではありません。
この作品は、お金の増やし方を教えてくれる本ではありませんでした。
「あなたは何を大切にして生きていますか。」
そんな問いを静かに投げかけてくる作品だったように思います。
印象に残った登場人物について
*祖母(琴子)
私の中でのご年配の人への金銭に関するイメージは年金など公的機関の利便性の良さもあって、豊かな人が多いイメージがありました。
しかし、琴子が今後の身の振り方で悩んでいたように、介護を利用するための資金や配偶者年金の受け取り金額の低さなどこの世代でも、お金の悩みは尽きないものなのだと感じました。
冒頭でも紹介した心に残った言葉は琴子のセリフでした。
私は「三千円の使い方で人生が決まる」という言葉が、節約の話ではなく”日々の選択の積み重ね”を表しているように感じました。
一方で、この世代ならではの等身大の悩みを抱える姿に親近感がわき、人柄の良さといい、個人的に一番好きな登場人物でした。
*真帆
読者によって評価が大きく変わる人物だと思います。
自分らしく生きようとする姿や行動力を魅力的に感じる人もいると思いますが、少し感情的な部分もあったように感じます。
しかし個人的には、物欲を満たすことに幸せを感じるタイプではなく、平穏な日常にありがたみを感じている姿は、自分自身の価値観とも重なる部分があり、一番共感できた人物でした。
総評
『三千円の使いかた』は、お金について学ぶための本というより、自分の価値観と向き合うための小説でした。
読み終えたあと、「もっと節約しよう」と思う人もいれば、「使うべきところには使おう」と感じる人もいるでしょう。
「私は、何を大切にしたい人なんだろう。」
きっと、その答えは人それぞれです。
だからこそ、この作品には多くの人が共感できるのだと思います。
お金ではなく、自分の価値観と向き合う時間をくれた一冊でした。
私は、お金とは人生を豊かにするための道具であり、その使い方にはその人らしさが表れるのだと感じました。
三千円という小さな金額を通して、自分が何を大切にして生きているのかを考えさせてくれる一冊です。
お金の使い方は、生き方そのものなのかもしれない。



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